データ本文のモアレ

モアレとは


モアレとは、印刷物のトーンの中に意図しない縞模様が現れる現象のことを言います。
紙原稿ではトーン重ね貼りで起きていましたが、デジタルデータ原稿の場合はいろいろな理由で発生します。

アンチエイリアスについて


アンチエイリアスとは、パソコンやスマホなどの画面(モニター)で見た際に、
グレー(灰色)を用いて滑らかさを出す処理のことです。
画像やラスタライズされたレイヤーを拡大や縮小するとアンチエイリアス処理されます。
例)B5本をA5本にして再録集を出す際、ラスタライズ原稿をリサイズするなど
※また、元からアンチエイリアスが付いているトーンもあります。

アンチエイリアス処理されたトーンをモノクロ2階調で書き出したり、
グレースケールモードで入稿しても印刷を行うとモアレが発生する可能性がありますので、
アンチエイリアス処理されたトーンを使用しないようにしましょう。
■ラスタライズとは
ベクター画像をラスター画像(ビットマップ画像)に変換することです。
ベクター画像 ラスター画像
Illustratorで描かれた図形は『パス』と呼ばれ、点(アンカーポイント)と点を結ぶ直線または曲線(ベジェ曲線)で構成されています。

右の画像と同じに見えますが…
実際は下図のように点と線で描かれています。

常にX・Y軸座標の数式によって描画されるので、拡大・縮小や回転・変形してもクッキリ滑らかな線が保持されます。
CLIP STUDIOやPhotoshop等のペイントソフトで描かれた図形は『ラスター画像』又は『ビットマップ画像』と呼ばれ、色付きの小さな点(ピクセル)の集まりで構成されています。

左の画像と同じに見えますが…
拡大表示すると線ではなく、点の集まりになっています。

このため拡大するとピクセルも拡大されるため、曲線部分等がギザギザに荒くなってしまいます。

グレー(灰色)のトーンについて


吹き出しの透明度を変更して透かせたり、エアブラシで白を拭き掛けてグラデーションにするといった表現をしますと、
下にあるトーンがグレー(灰色)となります。
印刷は黒のみで行われますので、グレーのトーンはさらに分解されて細かい歪な形状の網点となってしまい、
格子状のモアレなどを引き起こします。

従って、吹き出しは白トーン(白色のトーン)を上から貼ったり、
専用ブラシで削ってグラデーションにするなどで違う方法で処理をしましょう。

トーンとトーンの重ね貼りについて


服のトーンの上などに影を付ける為にトーンを重ねて貼るケースがあると思いますが、
線数と角度を同じに合わせていない場合、モアレが発生します。
また、アプリケーションによっては同じ線数と角度でも位置もぴったり合わせないとダメなケースもありますので、
表示を拡大してちゃんと重なっているか確認をしましょう。

グレー塗りの上のトーンについて


グレー色で塗りつぶした部分は、実際に印刷するとものすごく細かな網点で印刷をされます。
グレー色で塗りつぶした上にトーンを貼ると、トーンの重ね貼りと同じ理由でモアレが発生します。

解像度間違いについて


カラー原稿をモノクロ2階調化に変更したり、初期の設定でモノクロ本文の解像度を間違えてしまうケースがあります。
そのまま350dpiの原稿データで出力(オフセット用の版出力やオンデマンド印刷)をしてしまいますと、
割り切れない数字部分(小数点以下)が四捨五入や切り捨てとして演算されてしまい、
規則正しく並んでいた網点同士が離れたり、狭まったりすることで、
意図しない線(白or黒)が出てモアレになる可能性がありますのでご注意ください。

トーンの線数について


トーンの線数とは、網点の細かさを表現する数字です。
数字が高ければ高いほど、細かくなっていきます。

ただし、線数が大きくなればなるほどリスクを伴います。
オフセット印刷の場合はドットゲイン(インキのにじみ)によって、80線80%程度で黒ベタのようになります。
オンデマンド印刷の場合は機械側の線数とミスマッチが起こり、モアレが発生する可能性があります。
線数は60~70線以下(オンデマンド印刷は60線以下)にすることをおススメします。
高い線数でもお受けすることは可能ですが、モアレやトーンの潰れは、あらかじめご了承ください。